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『インデックスから離れよう』

米国や欧州の市況に比べて、最近の日本市場が変調気味で売買高が低いことに関して、いろいろな意見がありますね。

ヘッジファンドの決算シーズンがらみ
円相場の動向
日本の成長戦略期待の剥落
米国のQE縮小開始時期の後ズレ
日本企業の2Q決算の見極め
軽減税率の終了がらみ
中国の金融引き締め観測
消費増税

などなどいろいろ切り口があると重いますが、下記で紹介する記事は、違った切り口を展開しています。
株価(インデックス)があがらない原因として、失われた20年で懲りた日本の高齢投資家が、やれやれ売りの後に市場から退出していることがあるのではないか?』
という趣旨です。

興味深い論調ですね。
ただし、個人投資家だけでなく、(機関投資家を含む)日本人全体が売り越しですね。

インデックスがあがらない理由を、投資家サイドの状況から分析する記事はたくさん目にしますが、インデックスを決める根本は、投資する側の話ではなく、投資される側の話と思います。GPIFや新指数の話題ともつながります。

結局いつも同じ結論ばかり書いているのですが(笑);
日本株は『限られた銘柄の局地戦』、言い換えれば『インデックスから離れる』ことが重要だと思います。
市場のインデックスを案じる話題は参考程度に、むしろ個別銘柄の研究を広げるべきです。要はボトムアップアプローチですね。
(実際のところ、日経平均が最近変調気味でも、特定の銘柄群の売買はきわめて活発です。この中には、デイトレの投機銘柄だけでなく、高成長企業として投資適格な優良銘柄も多数含まれています。)

出所:BLOGOS
株はそんなに簡単じゃない
http://blogos.com/article/72378/
2013-10-26

(抜粋)

  • 金曜日の日経平均はほぼ400円下落。理由は先物の売り崩しとされているが、ソフトバンクとファストリテイリングの二銘柄が足をひっぱっている
  • 直近のサイコロは9勝3敗だが、プラスの日の合計は903.97円に対して、マイナスの日の合計は710.39円
  • 10月25日までの6ヶ月間、日経平均が101.10%、ジャスダックが99.2%
  • チャートは三角持合いが煮詰まっているようにも見えるが持合いを下に切り下げそうなところ
  • 多くの投資評論家は秋に株価は上がる、あるいは持ち合い上離れという見方
  • 投資部門別売買動向では、今年に入って個人株主が売り越し、外国人は買い越しが顕著
  • 日本証券業協会が調査した株式投資年齢層分布では、50歳以上が70.1%、40歳以上では87.4%
  • 個人が今年になって売り越している原因は、塩漬けの株式が売却できたとみるのが正解ではないか(株式市場からリタイアしている)
  • 塩漬けに懲りた投資家が株式から足を洗っていること、キャッシュを使いたかったこと、家族などからこれ以上継続することを反対されたこと
  • 失われた20年の間に株式で苦しみすぎたという背景
  • これの解決には投資の根本からやり直さねばならない。若い時分から投資とは何か、株式市場の魅力とリスクを教育の過程において行うしかない
  • 株式投資が如何にも儲かるという触れ込みの本や雑誌はたくさん出ているが、証券会社や政府がもっと真の投資を教える努力を怠っていないか
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機関投資家が、個人の主戦場『新興市場』にやってくる

昨日の日経に、新株価指数の採用候補リストが載っていたのでメモしておきたいと思います。

国際優良銘柄は(ROEが低く)新株価指数に採用されにくいので、新興市場から新株価指数に採用される候補を予測してみよう、というものです。

【東証新指数への採用が推測される業績好調な新興市場・東証2部銘柄】

銘柄 ROE(%)
ガンホー(3765) 68.7
ブロッコリー(2706) 62.1
enish(3667) 48.8
アスモ(2654) 44.7
コシダカHD(2157) 33
UTHD(2146) 31.6
プレシジョンS(7707) 27.5
JACリクルート(2124) 24.5

 

日本の多くの個人投資家は;
日本株は、インデックス運用では勝てない非効率な市場であり、新興市場の局地戦が効率的』という「常識」でやってきたところ、

ここにきて機関投資家もまたROE重視の指数採用により、個人投資家中心だった新興市場で運用を増やしていく、ということかと思います。
この動きの先に、日本株市場全体が「厳しい投資家が企業を育て、育った企業がさらなる投資を呼び込む」という正のスパイラルにつながるか?というと、ちょっと厳しいように思います。その根拠は、大半の日本企業の低ROEの原因は、日本人の根本的な体質によると思うからです(過去記事ご参照

GPIF、ROE、新株価指数、論点整理に関する過去記事はこちらを参照ください(その1その2その3

出所:日経
新興株狙う? 年金マネー
2013-10-22

要約

  • ROEは万能な指標ではない。株主資本が少ないか借金への依存が高い企業ほど数値が高く出るため、トヨタ自動車やキヤノンなどの国際優良銘柄が除外されてしまう
  • この弱点を逆手にとっているのが、新興市場投資をなりわいとする個人投資家
  • 新興市場銘柄は東証1部銘柄よりも株式の需給面での効果が大きいく、新指数への採用銘柄予測がネット上でかまびすしい。たとえば、「時価総額100億円以上」、「売買代金の月間平均が1億円以上」などでふるいにかけると、ガンホー・オンライン・エンターテイメントやコロプラ、オイシックスなどが入る
  • 大和証券が推測した条件は、(1)ROEと累計売買代金をスコア化し、その合計得点によるランキングが上位500位以内(2)今期増収かつ2けた経常増益(3)株価収益率(PER)30倍未満(4)時価総額100億円以上(5)回転売買率(累計売買代金÷時価総額)が100%以上(6)東証1部上場銘柄以外、の6つ。結果は上記のテーブル参照
  • ブロッコリーの株価はGPIFの中間論点整理が出た9月26日終値からすでに2倍超え、21日に年初来高値更新。enishも21日に年初来高値更新
  • ROEだけで選定すると成長していない企業も入ってしまうが、PERなどと一緒に選定すれば、市場が収益力や成長性を織り込みにいっていない銘柄もあぶりだせる可能性
  • アイレップなど株価が堅調な業種は幅広い。GPIFと東証のROE新指数のタッグが新興市場の株価上昇の追い風
  • 株式市場で高ROE企業が注目されるのは、日本企業のROEの低さの裏返し。日本の上場企業の平均ROEは6%前後で、欧米の15~17%程度と比べ低さが際立つ。厳しい投資家目線が企業を育て、育った企業がさらなる投資を呼び込む。公的年金の買い出動は、単なる株価下支えではなく、日本の資本市場の構造を変える可能性
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本日のROE分析:優良ネット株を比較してみる

昨日のROEの話題の続きです。
優良ネット株を5社ほどピックアップして、ROEを分解して比較してみました。(分解式は、昨日の記事を参照ください。)

 
 
PER
実績
2013年
10月17日
ROE
前期実績
(A)
売上高
当期純利益率
前期実績
(A')
売上高
営業利益率
前期実績
(B)
総資本
回転率
前期実績
【簡便計算】
(C)の逆数
自己資本
比率
前期実績
2371カカクコム
35.7
38.0
30.5
49.9
0.9
75.3
2193クックパッド
70.3
29.9
32.4
53.1
0.7
83.2
2440ぐるなび
29.7
14.7
7.2
11.4
1.4
73.5
2461ファンコミ
27.2
(分割後)
29.7
11.3
15.5
1.5
63.1
9449GMO
32.7
22.8
6.1
12.3
0.3
7.6

財務指標が際だつのは、クックパッド(2371)とカカクコム(2193)です。両社とも売上高営業利益率が50%前後と、収益力は抜群です。株価のバリュエーション(PER参照)的には、クックパッドはカカクコムよりもより割高な水準まで買われていますね。
クックパッドは、売上高50億円程度の小さい会社ですが、市場は成長性をきわめて高く評価しているといえます。

ファンコミュニケーションズ(2461)は、個人的にお気に入り銘柄の一つです(←この会社は月次IR資料がとても親切です)。
ぐるなび(2440)は、今後も材料に事欠かないでしょうね。

なお上表は、前年度実績を使用しています。直近の趨勢は、四半期開示や月次IRを参照してください。

「高ROE関連銘柄」はこちらです(まだまだ選別中です)。 >>

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本日のROE分析:利益率と回転率を分けてみる

米国の「三文芝居」が終わったようなので、やっと業績相場になるのでしょうか。

さて本日の日経に、「東証1部で今週に年初来高値を付けた銘柄を対象に、予想ROEでランキングしたリスト」がでていたので、これらの銘柄のROEを分析してみたいと思います。

財務分析の教科書では、ROEを以下の式に分解します(デュポンシステム)
ROE = 利益/自己資本 = [利益/売上高] X [売上高/総資産] X [総資産/自己資本]

(A)利益/売上高・・・・・売上高利益率
(B)売上高/総資産・・・・総資産回転率
(C)総資産/自己資本・・・財務レバレッジ

(C)は自己資本比率の逆数ですね。
ROEの話題の中で、『借入金が過大の会社は、ROEの分析はあまり意味がない』とよくいわれますが、「上式の(C)がとても大きい場合は、(A)と(B)が小さくてもROEが結果的に良くみえるから」ということですね。

まあその通りですが、もっと大切なポイントは(A)の利益率と(B)の回転率を分けて考える点です。

(A)と(B)を掛け合わせたものは、利益/総資産(ROAの一種)ですが、それを(A)の利益率と(B)の回転率に分けると、(A)の利益率で勝負している会社と、(B)の資産の回転で勝負している会社に分けられます。

薄利多売で回転が勝負のセクター(小売など)では(B)の回転率が重要ですが、製造業やサービス業その他多くのセクターでは、やはり(A)の利益率が最も重要と思います。(分子の当期純利益は特別損益などが入っているので、それを排除した「売上高営業利益率」がさらに重要ですね。)

国際的に日本企業が弱いのは、(A)の利益率が低いためであることが多いと思います。
(高い法人税率のせいだけではなく、むだなコストやポストや会社がずっと残るのは、競争よりも安定を優先する「日本人」の宿命でしょうか?)

下のリストの中で、「日本トリム(6788)」は超優秀ですね。日足チャートはほれぼれするかたちです。

証券コード
銘柄
今期予想ROE
株価上昇率
(A)
売上高利益率
前期実績
【簡便計算】
(B)
総資本回転率
前期実績
【簡便計算】
(C)の逆数
自己資本比率
前期実績
3769GMO-PG21.326.320.40.333.4
6284ASB機械18.37.26.50.854.4
8895アネストワン17.87.45.82.069.5
8915タクトホーム17.55.85.22.270.2
9435光通信16.98.93.42.046
6788日本トリム16.225.514.30.778.6
7313TSテック16.11.84.41.759.2
4612日本ペイント15.85.88.60.856
8880飯田産業15.36.45.51.042.1
3371ソフトクリエイト15.320.76.41.366.7
4768大塚商会14.12.23.22.050.7
3076あいHD13.64.39.21.071.1
6706電気興13.15.33.70.656.7
2440ぐるなび13.124.37.21.473.5
5486日立金属134.62.41.046.2
1712ダイセキS12.815.34.01.066.1
2753あみやき亭12.416.95.01.479.2
4919ミルボン11.31.19.70.986.1
8875東栄住宅11.26.23.21.343.9
4307野村総研11.21.67.90.866.9

※ 自己資本や総資産について、期末の数字を単純にYahooから転記していますので、【簡便計算】としています。(自己資本や総資産は、2期間の平均値を使用することが多いです。)

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日経平均連動投信を買うのは、「残念な会社」1点投資と同じだ

今週の日経ヴェリタスに、興味深い記事が載っていました。
論点を2つとりあげると;

「日経平均連動投信に長期分散投資すると、(売却のタイミングによって)大きく元本割れする可能性がある」
「日経平均連動投信を買うのは、ROEが5.8%(12年度実績)の低成長企業1社に集中投資するギャンブルと同じ」
というものです。

1つめの論点は、過去のバックテストの結果なので、将来のことはわからないともいえるでしょうが、
2つめの論点は、まさにその通りと思います。

日経平均採用銘柄225社は日本を代表する大企業群ですが、その225社を平均すると、パッとしない「低成長企業」になるわけですね。
NISAでは、日経平均のインデックス運用に関するこのリスクを、金融機関はしっかり説明する必要があることを指摘しています。

ちなみにS&P500の平均ROEは、15%前後です。
(参考)
http://blogs.marketwatch.com/thetell/2013/07/26/sp-500-return-on-equity-rose-in-the-first-quarter-goldman/

なお先日紹介した、年内に算出が始まる「新株価指数」(ROEと流動性を基準に500銘柄程度選別)は、まさに「投資で使える指数」として、投資に適した成長企業だけを選別して算出するという趣旨かと思います。(こちらの記事を参照ください

出所:日経ヴェリタス 2013-10-05号
「NISAで定額積立」のリスク

要約

  • 金融庁の金融機関向けの監督指針では、「NISAが家計の中長期的な資産形成を後押しする制度として導入された趣旨を踏まえ、顧客に対して、たとえば時間的な分散効果が得られる定額積立」の提供を促している
  • 過去の実績では、日経平均に長期分散投資すると、売却時点によっては大きく元本割れすることになり、家計の中長期的な資産形成どころの話ではない
  • また、日経平均連動投信を買うというのは、ROR(自己資本利益率)が5.8%(12年度実績)の低成長企業1社に集中投資するのと同じ。これでは、投資どころか投機になってしまう
  • 金融商品の提供の仕方まで指導するのであれば、そのリスクも合わせて示すのが当局として当然

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