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北極海航路の今年の「振り返り」

今年の北極海航路が(氷に閉ざされて)終了だそうです。
- 北極海航路は、「ロシア側航路」と「カナダ側航路」と大きく状況が異なる
- 北極海航路は、年によって開通期間が大きく変動する

観測史上6番目の小ささ、ロシア側航路は過去最高の通行申請 今季の北極海航路、「海運物流で期待高まり」、WN調べ
出所:LOGISTICS TODAY 2014-10-23

  • ウェザーニューズは22日、今シーズンの北極海航路を分析・評価する「振り返り」を発表
  • 今季は10月1日に北極海北東航路の一部が海氷で閉鎖されたことで、航路開通期間が終了。今夏の最小海氷域面積は480平方メートル(9月17日時点)で、観測史上6番目の小ささ
  • ロシア側の北東航路は5月下旬から海氷の融解が始まり、8月21日から10月1日までの間、5年連続で開通。今夏は過去最高となる600航海以上の通行申請が行われ、海運物流で期待が高まっていることがわかる。一方、カナダ側の北西航路はカナダ多島海の一部で海氷が残り、5年ぶりに未開通
  • 北極海の海氷は、今世紀に入って顕著な減少傾向が続いており、05年には欧州-アジアを結ぶ新航路として北極海航路が出現、09年には世界初の船舶の商業航海
  • 12年は観測史上最小面積を記録し、ロシア側の北東航路が2か月間以上にわたって開通が維持されたものの、13年の海氷域面積は大きく増加し、航路開通期間も3週間と短いものだった。海氷の動向によってその年ごとの海氷域面積や北極海航路の開通有無・期間は大きく変化するため、今年の動向が注目されていた。
  • 14年の北極海の海氷は北東航路(ロシア側)と北西航路(カナダ側)で傾向に違いが見られた。北東航路では昨年以上に海氷域の後退が進んだことで、8月21日に5年連続の航路開通となり、10月1日までの1か月以上にわたり海氷域に入ることなく通行可能な状態が継続。
  • 一方、北西航路はカナダ多島海の一部で海氷が残り、開通に至らなかったことについて、カナダ側の気温が低く推移したことと、海氷を動かし融解を促進する強い低気圧の通過が少なかったことが要因として考えらる

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北海道が持つ地理的優位性とは?

北海道は、地理的な優位性を生かして北極海航路関連の構想に取り込もうとしている、という関連記事です。
九州が中国大陸に近い優位性をもつのと同様に、北海道も今後は地理的優位性をアピールしていけるかもしれません。

札幌で北極海航路の専門家招き国際セミナー
出所:LOGISTICS TODAY 2014-10-17

  • 北海道は11月10日、地理的な優位性を生かして取り組む「北東アジア・ターミナル構想」を推進する活動の一環として、北極海航路関係国の専門家を招へいした国際セミナーを、札幌市で開催する。
  • 北極海航路に関する道民の理解促進と機運向上を図るため、海洋政策研究財団主催、北海道共催で行う。同セミナーには、ロシアのセントラルマリンリサーチ&デザインインスティテュート(CNIIMF)、原子力船公社、国営船社のソブコムフロートのほか、ノルウェー、デンマーク、フィンランドの船社が参加する。

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「地球温暖化適応ビジネス」とは?

地球温暖化はもはや避けられず、むしろ被害を減らす「適応策」に新たなビジネスチャンスがある、という興味深い日経産業の記事を紹介します。

避けられない温暖化 「適応策」で新ビジネス
出所:日経産業 2014-10-16

  • 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が今春まとめた報告は、温暖化対策が曲がり角にあることを指摘。地球の平均気温が2度以上上がると洪水や熱波、干ばつなどが多発し、台風も巨大化すると予測。一方で温暖化ガスの排出を減らす国際的な枠組みづくりは難航し、温暖化は回避できない状況になりつつある
  • 浮上してきたのが、温暖化の被害を最小限に抑える適応策。IPCCの報告は適応策の強化を強調、国レベルだけでなく民間が果たすべき役割も大きいと指摘
  • 適応ビジネスの先行例はすでにある。温暖化は損害をもたらす半面、一部でプラス効果も予想される。たとえば北極海航路。商船三井が北極海定期航路を開くと発表し話題になった。農業でも、これまで温暖な地域に限られていたミカンなどの栽培地域が東北地方まで広がると予想される。食品メーカーや商社などは生産地の変化を予測する研究に動き出している。
  • 期待されているのは、温暖化のプラス面を上手に活用するビジネスだけではない。
    • スイス・ネスレ:温暖化に対応したコーヒー豆生産技術の研究、農家の教育など(中国、西アフリカ、中南米、東南アジアなど)
    • コカ・コーラ:水使用量の削減と地域への安全な水供給(タイ、ベトナム)
    • 英蘭ユニリーバ:干ばつに強い紅茶の開発、水資源の確保など(ケニア、タンザニア)
    • 米マイクロソフト:情報技術を活用した温暖化の評価、監視、早期警報(全世界)
    • 独BASF:高温や干ばつに強い穀物の開発、農家の教育(ブラジルなど)
    • 米GE:工場・都市排水の有効活用(アルジェリア、中国、インド)
    • 独シーメンス:新たな水浄化技術の開発(当面はドイツ国内)
  • 国連の気候変動枠組み条約事務局は、適応ビジネスの事例を世界から集め、データベース「プライベート・セクター・イニシアチブ(PSI)」として公表、すでに100以上の事例が集まり、業種も食品、化学、情報通信、金融・保険など幅広い。
  • 興味深いのが、独化学大手BASF、同製薬・化学大手バイエル、コカ・コーラなどの事例。バイエルやBASFは高温や乾燥に強いダイズ、トウモロコシの品種改良・開発など、途上国の穀物生産を支援。協力内容も研究開発から人材育成まで幅広い。医薬・化学品の原材料として熱帯・亜熱帯の植物の重要性が増しており、長い目で事業の継続性を保つことが狙い。コカ・コーラも途上国の水資源確保に向けた事業を表明。安全な飲み水の確保は世界各地で深刻な問題になっているが、温暖化はそれに拍車をかけるため
  • 共通しているのは、温暖化で被害が予想される国との共生を訴えていること温暖化に便乗したビジネスという印象を地元や国際社会に与えてしまえば反発は免れない。一方で、企業の社会的責任を旗印に掲げるだけでは利益に結びつきにくい。その中間で新たなビジネスモデルを模索する動き。
  • PSIに登録した日本企業は、国内で水資源管理を進めるサントリーグループなど数社。水面下で海外事業を計画している企業は多いはずだが、世界にアピールする姿勢も必要

北極海の環境問題を考える

当サイトが注目するテーマの一つ、「北極海航路」関連で興味深い現地レポの記事をメモしておきます。富裕層向けのツアーのほか、豊富な地下資源の採掘が環境破壊を引き起こす可能性があることなど。プランクトンの少ない北極海は、自浄能力が弱いんだそうです。いったん汚染されると、ずっと汚染されたままになる可能性があるわけですね。

北極の温暖化ルポ とける氷 進む開発と汚染
出所:YomiuriOnline 2014-09-29

  • 氷がとけた夏の北極はいま、富裕層に人気の観光地。北極点ツアーを催行するモスクワの国際クルーズ会社「ポセイドン・エクスペディションズ」では、料金は2.5万ドル(約270万円)から4万ドル(約430万円)。来年のツアーもほぼ完売。ツアーは、厚さ3メートルの氷も割る客船仕様の原子力砕氷船に乗り、ムルマンスク―北極点を往復。北緯90度の「地球のてっぺん」に立ち、シロクマやアザラシなどに出合えることもある。同社がツアーを始めた1999年はムルマンスクから北極点まで6日かかったが今では3日半で到達。氷に覆われた海域が以前より狭くなった上に、氷が薄くなったので船が速く進めるようになっ
  • 北極の利用や開発が進むと、懸念されるのが環境破壊。同乗した貨物船では、生ゴミは細かく砕いて許可された海域に流し、それ以外は基本的に投棄せず、港に持ち帰る。水温が低くプランクトンの少ない北極海は、自然の浄化能力が低いため。最も懸念されるのは、油田掘削施設での原油流出など大規模な事故。いったん事故が起きると、取り返しのつかない環境破壊を引き起こす可能性がある。北極の海底には石油や天然ガスなど膨大な資源が眠る。2008年に米国地質調査所は北極には900億バレルの原油、1670兆立方フィートの天然ガスがあるとの推計を発表。原油は世界の未発見の埋蔵量の13%、天然ガスは同30%にあたる。ロシアは大陸棚で原油開発を始めている。バレンツ海のプリラズロムノエ油田では昨年9月、国際環境NGO「グリーンピース」が抗議船を出して開発中止を要求、約30人がロシア当局に拘束される事件も起きた。「北極で資源を開発する企業は、事故が起きた時に汚染を防ぐ十分な技術を備えていない

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「北極海航路」関連は政治をウォッチしていく必要あり

当サイトが注目するテーマの一つ「北極海航路」に関して、今朝の読売新聞の社説を抜粋で紹介します。

北極海航路 日本も戦略的関与を強めたい
出所:読売新聞 2014-09-08

  • 商船三井は北極海航路を使い、2018年からLNGを輸送する計画を発表。専用の輸送船3隻を建造、ロシア北部のLNG基地から日本・欧州に運ぶ予定。欧州方面は通年、アジア方面は6~11月に運航予定
  • ロシア沿岸航路は、スエズ運河経由に比べて、日欧間の距離は約6割。海賊に遭遇する危険性も小さく、物流コストの節減、資源調達ルートの多様化などの効果が期待される
  • 北極海の海底には、石油・天然ガスなどが豊富に埋蔵。資源開発は、十分な事前調査と巨額の費用を要するため、政府は当面、民間とも連携した情報収集が必要
  • 北極海では温暖化で海水の酸性化が進み、魚介類などへの悪影響が懸念。北極圏の環境変化が地球全体の異常気象を招く一因になるとの指摘もあるが、各国の研究は遅れている
  • 文科省は、10年代後半の運用開始を視野に、北極海の酸性化の状況を無人潜水探査機などで一年中観測できる新システムを開発、来年度予算の概算要求に約11億円の関連費を計上
  • 来年5月には、日本の提案で、気候変動が北極海に与える影響などに関する国際会議をフィリピンで開催
  • 日本が環境面で貢献すれば、発言力が高まり、航路利用や資源開発に参入しやすくなる
  • 日本は昨年5月、米露など沿岸国を中心に北極圏開発などを協議する「北極評議会」へのオブザーバー参加が認められたが、それ以降の政府の取り組みは、十分とは言い難い
  • 中国は海洋権益の確保をにらみ、砕氷船による調査航海など、北極海での活動を活発化。日本も北極海利用に関する総合的な戦略を早期に策定し、国益を追求することが肝要
  • 日米欧は現在、ウクライナ情勢を巡りロシアとの対立を深めている。航路利用や資源開発はロシアとの連携が前提となるだけに、中長期的にロシアとどんな信頼関係を築くかも課題

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